提案の説得力が増す「捨て案」の使い方

はじめに

今回はあらゆる提案の場面で汎用的に使え、メインとなる提案の説得力が増す「捨て案」の使い方について書いていきたいと思います。

「捨て案」とは、提案において捨てる案、つまり提案しない案となります。
提案しない案という事は不要なのでは?と思う方もいると思いますが、捨て案を使う事で、メインとなる提案の説得力を増す事が出来ます。

説得力のある提案をする人は当たり前のようにやっているスキルなので、あまり意識できていなかったかも・・という人はこの機会にマスターしましょう。

■この記事でわかる事

  • なぜ「捨て案」が重要なのか
  • 提案における「捨て案」の使い方

なぜ「捨て案」が重要なのか

メインの提案ではない「捨て案」がなぜ重要なのでしょうか?

簡単な例を見てみましょう。
あなたが提案を受ける側の立場だとして、以下のAさんとBさんの主張をそれぞれ比べてみて下さい。

■Aさんの主張
今回はXの施策をやるべきです。Xをやる事で○○の効果が生まれ、□□という結果が期待できるからです。

■Bさんの主張
今回取りうる施策においてはX, Y, Zの選択肢があり、私のXの施策を実施すべきだと思っています。
Y, Zはそれぞれ△△と☆☆の効果が見込めますが、今回の目的と照らし合わせると、Xによる○○の効果が最も高く、□□の結果をもたらすと期待できるからです。

いかがでしょうか?
非常に簡素化した例ですが、Bさんの主張のほうが説得力があり、Aさんに比べ「よく考えている」という印象を受けるのではないでしょうか。

ここで重要なポイントは、「メインの主張に関しては2人とも全く同じ事を言っている」という事です。
AさんもBさんも、結論としては、「○○の効果が見込め、□□の結果が期待できるのでXをやるべきだ」と言っています。
Bさんは事前検討の結果、Xがベストと判断したのであれば、AさんのようにXだけ主張しても良かったのですが、あえて「捨て案」であるY, Zにも触れる事で説得力の高い提案になっています。

これはなぜでしょうか?
提案の説得力は、以下の2つの要素に分解できます。

提案の説得力 = ①メインとなる提案自体の良さ + ②他の案と比較した時の良さ

提案を受けた側としては、メインとなる提案が良いと思う事がまず重要ですが(①)、1つの主張だけを聞いていると、「これが良いのはわかったけど、他の選択肢はないのだろうか」という事が気になってきます。ここに応える形で、他の案との比較結果を出すと(②)、「なるほど!」と説得力の高い提案となる訳です。

ちなみに、②だけの場合はどうなのでしょうか?
これは消去法に近い形となり、残念ながらこれも説得力のある提案にはなりません。
いきなり〇✕表を見せられて、「全部〇がついたこの案が良いです」と言われても、その効果の高さがわからず、説得力のある提案とはならないからです。

メインとなる提案自体の良さがある事は大前提ですが、メインの提案だけ主張するのではなく、その主張を「捨て案」でサポートする事で、その説得力を高める事ができます。

提案における「捨て案」の使い方

捨て案の使い方として重要なのは「しっかりと見せる」また、「あえて見せる」という事です。

他の人の提案や主張を聞いている時に「選択肢はこれしかないんでしょうか?」と聞くと、「色々と検討した結果、これが一番良いと思ったので・・」と、手元から比較表や検討の流れの資料などが出てくる事がよくあります。

せっかく色々と検討していても、見せなければ相手からは検討していないと思われても仕方がなく、これは非常にもったいない事です。
捨て案は見せなければ効果を発揮しないので、必ず明示的に見せるようにしましょう。
副次的な効果として、提案の受け手がメインの提案と捨て案の組み合わせで更に良い案を思いつくという事もあります。

ただ、明らかに特定の案が良く、かつそれが周知の事実に近いような場合は、あえて捨て案を見せなくても提案が通る場面もあります。
こういう場面でも、時間をかける必要はないものの、捨て案を含めた比較表を作ってまとめておきましょう。補足的に見せるとやはり効果は高いですし、「この案で良いと思うけど、ちなみに・・」と他の案について質問された時に、すぐに準備した資料で切り返せると信頼度が大きく増します。

おわりに

いかかでしたでしょうか?

無意識的にやれているという人は、おそらく普段から説得力があるねと言われるタイプの人でしょう。
ただ、常に頭に入っていたかというとそうではないという人も多いのではないでしょうか。

提案の説得力を高めるために、メインの主張の質を高めると同時に「捨て案」を上手く使いこなして行きましょう。