オートメーションについて
オートメーションとは?
オートメーションとは、「ソフトウェアによる業務の自動化」を指します。
これまで手作業で実施される事が多かったホワイトカラーの業務をソフトウェアで自動化する概念であり、近年、RPA(Robotic Process Automation)というソフトウェアロボットによる業務の自動化がトレンドになっています。日本においても、働き方改革などの影響も受け、オートメーションは急速に広まり、RPAに関して言えば、その普及速度は当時のスマホ並みとのデータもあります。
世界有数のリサーチ企業であるガートナー社が毎年発表している、企業や組織にとって重要なインパクトを持つ「戦略的テクノロジートップトレンド」に「ハイパーオートメーション(オートメーションの更に高度な概念)」が2020年から2022年にかけて3年連続でランクインしており、オートメーションのその注目度は益々高まっています。
グローバルのトレンドからも明らかなように、企業としてオートメーションに取り組んでおく事は、今や必須の状態と言えるでしょう。
なぜオートメーションが重要なのか?
なぜオートメーションが重要なのでしょうか?
オートメーションが重要である理由には大きく以下の2つがあります。
1.深刻な労働力不足
生産活動の中心となる生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口)の減少が大きな社会問題となっており、高齢化先進国である日本だけでなく、アジア全体で見ても、生産年齢人口はマイナス成長の見通しとなっています。
こうした背景から今後、様々な業界・国で労働力は取り合いの状態となり、採用難・国内外の人件費の高騰が更に加速して行きます。

労働力不足は既に待ったなしの状態であり、事業存続と組織の競争力維持のためには、自動化可能なオペレーションは極力自動化し、人手をかけない事業体・オペレーションへの変革が必要となります。
2.オートメーションを使いこなす企業による淘汰
かつて製造業を中心にファクトリーオートメーションが進み、そこから、企業での業務のあり方・ブルーカラーと言われる人達の働き方は大きく変わりました。
これまで何十人と人手をかけてやっていた仕事の自動化により、大量生産というスケールを企業にもたらした上に、工場で作業をしていた人員を人にしか出来ない業務領域へとシフトする事で、更にその競争力を大きく向上させました。
これと同じ事がホワイトカラーでも起こります。
オートメーションを使いこなす企業では、それまで10人かけてやっていたような仕事を1人でやるようになり、更にその生産性はオートメーションのスケールにより従来をはるかに凌ぎます。
まずはRPAによる単純作業の自動化が注目を浴びましたが、今後AIとの連携を含めたハイパーオートメーションの流れの中でオートメーション自体のレベルも更に上がり、人間の判断や予測といった領域の自動化が進んでいきます。
オートメーションにいち早く取り組む企業では、RPAやAIといった自動化テクノロジーを使いこなすデジタル人材が、少数精鋭でありながらも圧倒的なスピードとスケールで事業を展開し、企業の競争力を加速度的に高めていきます。
そしてもう一つ重要な観点として、今後、企業の競争力にとって最も重要なポイントは、優秀なデジタル人材・デジタルネイティブ世代の獲得であると言えます。
優秀なデジタル人材・デジタルネイティブ世代は、最先端のテクノロジーが使いこなせる組織・風土であるかという点を重要視します。なぜなら、彼らにとって当たり前のテクノロジーが使えないことが何よりのストレスだからです。
オートメーションをいち早く進めた組織には、優秀なデジタル人材・デジタルネイティブ世代が集まる好循環が生まれ、更にその競争力を高めていきます。
このように、オートメーションへの取り組みが遅れた従来型企業は、オートメーションを使いこなす企業に太刀打ちする事は到底出来ず、オートメーションを使いこなす企業によって淘汰されて行く事になるでしょう。
オートメーションの効果
多岐に渡るオートメーションの効果
オートメーションによって得られる効果は、定量効果・定性効果含め多岐に渡ります。

オートメーションを未導入・導入検討中の企業では、定量効果に注目しがちで、「オートメーションを導入すれば安くなるのか?」という声がよく挙がりますが、定量効果だけではオートメーションの真の価値を図る事は出来ず、その真の効果は定性効果にあります。
オートメーションの効果については、特定の時点ではなく、ストーリーで考える事が重要であり、オートメーションによってまず、従業員がストレスの高い単純作業から解放されて行きます。そして、単純作業から解放された従業員は付加価値の高い業務領域へシフトし、企業への競争力強化をもたらします。
同時に、オートメーションを進める中で、これまで属人化・ブラックボックス化していた業務の可視化・プロセス改善が進み、オートメーションの実業務適用の経験を通じて、従業員のデジタルリテラシーも向上して行きます。こうした「人」と「業務」の両面における変革により、企業風土の改革が進み、これが本格的なDXの取組みへと発展して行きます。
オートメーションの導入にあたり、「今入れてもあまり安くなりそうにないから」という短期的な視点で判断を下すのは、自社ビジネスの進化と競争力強化、優秀なデジタル人材・デジタルネイティブ世代の獲得、オートメーションを使いこなす企業による淘汰などを踏まえるとあまりに早計と言えるでしょう。
後で大きなしっぺ返しがくるだけならまだ良いのですが、多くの場合は取り返しのつかない状態になっていることでしょう。
短期的な定量効果にのみ注目するのではなく、中長期視点の組織戦略としてオートメーションを捉えていく必要があります。これは、短期的に定量効果が出ないからという理由だけで、レガシーをそのまま寝かせ続けておくことが、組織戦略として合理的な判断ではないのと同様になります。
オートメーションはDXのトリガ
今や至る所で耳にするようになった「DX(デジタルトランスフォーメーション)」ですが、DXとは、単なるレガシーシステムの刷新やこれまでのIT活用の延長ではなく、「トランスフォーメーション」という言葉の通り、企業文化も含めたデジタルを使いこなすデジタル組織への変革を指します。
これまでは、既存業務のどこをITで効率化するかという「業務ファースト」の状態でしたが、今後は、デジタルを前提として業務を設計する「デジタルファースト」の時代となって行きます。そして、DXによりデジタル組織へと生まれ変わった企業は、その競争力を大きく高めて行く事になります。
しかし、DXにおける一番の悩みは「具体的に何をすれば良いかわからない」という事でしょう。
DX自体は抽象度の高い概念であり、「DXをやれ!」と経営層が声高に叫んでも、具体的に何をすれば良いのか現場はわからないためです。
こうした状況において、DXを進めて行くトリガとして、まずオートメーションに取り組む事は非常に有効となります。
なぜ有効かというと、「実際に現場で実施している業務が、1ヶ月と待たずに目に見える形で変わるから」です。
これまで手作業でやっていた業務が自動化されたという実体験を元に、現場の方々のマインドが少しずつ変わって行きます。
「この業務が自動化できるなら、あの業務も自動化できるはず」「今まで人手が足りずに出来ていなかったけれど、自動化出来るならこの業務もやりたい」といった声が現場から上がるようになります。
そして、更にオートメーションを推し進め、現場の風土が変わっていく中で、様々な課題・気付きが出てきます。
「業務を標準化すればもっと効率的に自動化出来るのではないか」「この業務はシェアードセンターやBPOで集約化して自動化した方が良いのではないか」「せっかくある顧客データを上手く活用できないか」「AIを使って一部判断を含むような業務も自動化出来ないか」
こうしてオートメーションから始まった取り組みがDXの取り組みへと発展して行きます。
オートメーションはDXへの有効なトリガであり、オートメーションに取り組む事でDXという大きな歯車を回して行く事が出来ます。

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