弁証法

はじめに

今回は「弁証法」という思考方法について書いていきたいと思います。

皆さんも一度は聞いた事があるのではないでしょうか?
弁証法はアイデアをより高次のアイデアを発展させて行く思考法であり、ビジネスや日常生活含め、様々なシーンで活用できる思考法であると言えます。

弁証法の起源は、ソクラテスとプラトンの時代まで遡りますが、現代における弁証法は、一般的にヘーゲルの弁証法の概念が用いられています。
身近な例も見つつ、弁証法について理解して行きましょう。

■この記事でわかる事

  • 弁証法とは何か
  • 弁証法の有用性
  • 弁証法を使った議論の例

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弁証法とは何か

弁証法とは、「ある特定の意見とそれに対立する意見を統合することによって、よりよいアイデアを生み出そうとする思考法」になります。AかBかの二者択一ではなく、AとBから新たなCを生み出す思考法です。

「対立する意見」というのがポイントで、ある「命題(テーゼ)」とそれに対立する「反命題(アンチテーゼ)」に対し、その2つの「統合案(ジンテーゼ)」を出すというプロセスにより、より高次の思考へ到達する事を目指す思考法です。

弁証法

弁証法はこの思考のプロセスを指しますが、弁証法の過程を経て問題を解決する事を「アウフヘーベン(止揚)」と言います。アウフヘーベンはドイツ語で「二つのものを超越する」「昇華する」という意味になります。

弁証法の有用性

ビジネスにおいても矛盾はつきものです。

<例>

  • 短期的な利益を狙うと長期的な利益が得られない
  • コストは下げたいが高い品質は担保したい

様々な課題、特に簡単に解決しない課題について日々議論が行われていますが、こうした議論の場で、議論に行き詰った時・特定の意見に傾きすぎてしまった時に弁証法を使う事で新たな道が開ける事があります。

また、アイデア出しなどの場面においても、1つの意見に対して、あえて矛盾や対立する意見を出し、そのどちらも超越する結論を目指す事で議論に深みを与える事もできます。

弁証法の面白いところは「繰り返し実施できる」という点です。
弁証法を通して出た案に対し、また対立する案・矛盾を考え、更にそれを超越する案を考える事で、思考を深め、アイデアを発展させて行く事ができます。

弁証法繰り返し

弁証法は他者との議論の場でも有効ですが、自分自身(自分との対話)で用い、思考を深めて行くのにも有効です。

弁証法を使った議論の例

弁証法の簡単な例を見てきましょう。弁証法の例でわかりやすいのが、親と子供の事例です。

命題(テーゼ):【親】子供に勉強させたい
反命題(アンチテーゼ):【子供】勉強ではなくゲームがしたい

親は子供に勉強させたいですが、子供は勉強ではなくゲームがしたい。
お互いの主張が対立しており、どちらかが折れないと埒が明かない状態です。ここで弁証法を使って統合案を考えると、

統合案(ジンテーゼ):子供が楽しみつつ勉強ができる学習ゲームを与える

という案を出す事ができます。両者を否定せず、2つの意見を合わせてより良い意見を出して行ける事に弁証法の有用性があります。

ここで注意なのが、弁証法は妥協案を探す事ではないという点です。例えば、上記の議論において、「ゲームをする時間を決めて、その後は勉強する」といったようにお互いが譲って妥協するような案を出す事は弁証法とは言えません。
弁証法はあくまで、両方の意見を合わせてより高いレベルで一つの結論をまとめ上げるという思考法です。

車は便利なのでどんどん使用したいが、車は環境に良くないので使用は制限するべきだという議論で生まれたエコカーや、開発によって経済を発展させたいが、未来のために環境を保護すべきだという議論で生まれたSDGsなども弁証法の枠組みで捉える事ができるでしょう。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

弁証法を活用する事で、他者との議論や自身の思考を深めて行く事ができます。弁証法の素晴らしい点は妥協案を探すという発想ではなく、一見対立する2つの案に対して、両方を否定せずに統合したより良い案を出そうとする点です。

様々な議論・アイデア出しの場面で、弁証法を用いてみるのも良いのではないでしょうか。