キャリアアップのための転職の使い方 ~内部昇格と転職の歪み~

はじめに

皆さんは転職をしたことがあるだろうか?

転職が当たり前になりつつある社会の中で、1社経験しかない友人達の中でも、転職に興味があるという人の割合はかなり増えてきている。

転職がオススメかどうかと言うと、本人が何をやりたいか次第であるため、おしなべて転職がオススメであるという事はない。今いる会社でしか出来ない事があるのであれば、当然、転職する理由は何もない。

一方で、「個人としてキャリアアップしたい。市場価値を高めて行きたい」という事であれば、内部昇格でそれを狙うのはあまり筋が良いとは言えない。なぜなら、内部昇格と転職という制度には大きな歪みが存在するからである。

一言で言ってしまうと、「内部昇格にはルール(制約)が多く、転職にはあまりルールがない」つまり、色々と自由度が高い転職の方が、実力がある人にとっては有利なのである。

私自身、独立するまでに3度転職したが、内部昇格で同じ給与やポジションを狙った場合に比べ、1社目の日系企業との比較で言うと10年、2社目のコンサルファーム、3社目の外資系企業との比較で言っても、おそらく4~5年程度は縮めたであろう。

ここで「歪み」と表現したのは、転職の良さではなく、内部昇格制度の遅れ(現代との乖離)を強調するためである。

私も転職と内部昇格にそれほど乖離がないのであれば、転職という選択肢を取らなかった事もおそらくあった。ただ、転職に比べ、内部昇格という制度が明らかに不利であるため、転職を選んだというのが正直な所である。

しかし、転職を告げた際の会社の反応は、「非常に期待していたので、大変残念」「できればずっといて欲しかった」という、私にとっても残念としか言いようがないケースがほとんどであった。内部昇格制度を規定している会社自身が、制度上の歪みで、自分達の首を絞めてしまっているのである。

今回は、自分の市場価値を上げて行きたいという人向けに、内部昇格に比べて、転職がなぜ有利なのかという事を中心に解説して行く。加えて、内部昇格と転職の歪みを踏まえた上で、自分が上司の立場になったら絶対に意識しておくべき事も解説する。